ハンターから追われる美少女吸血鬼たちの悲劇。エロシーンは完全なるリョナ嗜好なので、女の子の悲鳴や流血、そして”解体”に耐性がない方は回れ右。きっとトラウマになる。逆にそういったものを渇望しているなら、購入して損はない。
ストーリー
あらすじ
由奈と静羽は相思相愛の吸血鬼。由奈は人間を都合の良い駒だと認識しているが、静羽は誰も傷つけたくないと思っている。
ある日、二人は訪れた町 千咲楽で、吸血鬼ハンター 優衣架と協会の生物兵器3人組から強襲される。不利を悟った由奈は、どうにかして静羽とともに、ハンターたちから逃れようとするが……。
SaDistic BlooDのストーリーは、端的に言えば、美少女吸血鬼とハンターの鬼ごっこだ。 ハンターに捕まってしまえば、吸血鬼二人の未来は暗い。単に殺されるだけですむなら幸いなほうで、もし生きたまま研究所送りとなれば、死よりも酷い苦痛と屈辱の日々が待っている。
由奈は1対1でならハンター相手でも戦えるが、複数相手は無理。静羽は争い事には不向きな性格をしており、戦力としては期待できない。そのため、由奈と静羽は、基本的には逃げの一手を打つことになる。
SaDistic BlooDは、最近の抜きゲーにしては珍しく、行動の選択に緊張感がある。その選択によってヒロインの生死が決まるということ以上に、次に何が起こるか分からないという恐怖がある。そうすることで本当に二人は助かるのか、そもそも二人とも無事に終わる結末は存在するのか?――と、どこか古風なホラー系ADVをプレイしているかのような緊張感が味わえるのだ。
エンディングは多数用意されている。リョナ嗜好のプレイヤーなら、好みのエンディングがきっと見つかるだろう。なかには古典的なトリックによって本作の前提を揺るがすような結末もある。所詮低価格のリョナゲーだと思って飛ばし読みをしていると、意外によく出来た本作の世界観を充分に堪能できないかもしれない。
エロシーン
エロシーン数 合計13(CG重複あり):由奈&静羽 4, 由奈 4, 静羽 2, 優衣架 3
まず残念な事実から伝えると、 SaDistic BlooDの基本CGは非常に少ない。DL版税別価格は2800円(初値)だが、基本CGは10枚しかない。シーン鑑賞枠は20枠あるけれども、エロシーンを含まないエンディング等も枠に含まれている。それらを取り除くと、エロシーンの鑑賞枠は13しかない。
しかしながら、 SaDistic BlooDのエロシーン一つ一つの濃さは、量的不足を補って余りあるものだ。ヒロインの”断面”は倫理の膜によってボカされているものの、リョナシーンそのものに妥協は感じられない。基本CGが少ないかわりに差分CGは数多くあり、エロシーンのビジュアル表現は変化に富んでいる。
マニア向けAVが一般AVより割高であるように、本作もまた完全にマニア向けであるがゆえにそうなのだと思えば、騙された気分になることもないだろう。
具体的にどんなエロシーンがあるかについては、下記のリストを参照。
園原 由奈(CV:いねむりすやこ)
気位の高い美少女吸血鬼。自分自身と静羽以外は都合の良い駒だと思っている。人間の慰みものにされるくらいなら一人でも道連れにしようと考えるタイプだが、静羽のことが気がかりで葛藤が生じる。自尊心が高いぶんだけ、陵辱されるときの反応が良い娘だ。
七瀬 静羽(CV:柏木逢花)
誰も傷つけたくない美少女吸血鬼。由奈以外の血は吸いたくないし、由奈が自分以外の血を吸うのも好ましく思っていない。吸血だけでなく性交でも満たされるタイプだが、さすがに拷問じみたレイプで喜ぶほどではない。
榊 優衣架(CV:羽真ちい)
吸血鬼に家族を殺された過去があり、復讐のためハンターとなった人間の娘。協会に問題の多い生物兵器3人組の管理を押し付けられており、うち1人からは歪んだ尊崇を受けている。リョナシーンでは肉体的にも相当酷い目にあうが、精神的にも追い込まれる気の毒なひと。
総評
評価:良 SaDistic BlooDは、すごい作品である。さまざまな意味で。この作品が日の目を見ることを想像できないほどすごいし、もし日の当たるところに出てきたら一瞬でジャンルごと灰になるだろう。その徹底したリョナ表現には感嘆するほかない。
ストーリーには緊張感があり、意外性のある結末も楽しめた。古典的なトリックはそうと分かっていても楽しめるところが良い。はじめの段階で矛盾に気づき、もやもやとした気持ちで読み進め、最後にその矛盾が解消されることにちょっとしたカタルシスがある。
基本CG枚数が非常に少ないのは残念だが、これほどエロシーンの内容が濃いのであれば妥協できる。普通の性的嗜好の方が怖いもの見たさで買うには危険だけれども、リョナ嗜好の方にはとてもオススメできる作品だ。