本作は、“僕が 先に 好きだったのに“&想い人の妹と代償行為という業の深い作品だ。表題には「幼馴染のお姉さんが寝取られた」とあるが、主人公と春香は元々恋人のように深い関係ではない。また、姉の代替として肉体関係を迫ってきたのは、主人公ではなく妹の秋穂のほうであるから、誤解しないように注意しよう。
主人公は、ずっと憧れていた春香が恋人関係に興味を抱いていると知り、これは自分にもチャンスがあるかと期待していた。しかし、秋穂の手引きにより、親友の将人と春香が理科準備室でエッチしている現場を目撃してしまう。主人公の絶望する様を見た秋穂は、意味ありげな微笑を浮かべて、なぜかその場で彼を性的に誘惑してくるのだった。
憧れのお姉さんが他の男とセックスしている隣の部屋で、その妹とエッチするという状況設定はとても良い。春香と秋穂は別室にいるにもかかわらず、フェラチオやごっくん、生ハメセックスがそれぞれシンクロしており、代償行為として想い人の妹とまぐわうという背徳感が際立っている。秋穂が姉の髪型を真似してみせたり、姉のオナニー使用済パンツを主人公の口に突っ込んだりという挑発的な態度にも唆られるものがあった。
しかし惜しむらくは、本作のストーリー構成はお世辞にも整っているとは言えないことだ。事前に販売サイトの作品説明に目を通さず本作を読むと、主人公、春香、秋穂、将人の関係性が把握しづらく戸惑うことになるだろう。また、秋穂が主人公に好意を抱いているのは分かるとしても、なぜ今回のような代償行為を自分から積極的に持ちかけてきているのかは最後まで分からない。秋穂は最初から最後まで理解しがたい淫乱女にしか見えず、エンディングもすっきりしなかった。
とはいえ、本作は新参サークルの処女作としてはレベルの高い作品ではあると思う。構成の粗さにさえ目を瞑れば、エロシーンの演出には光るものを感じる。葵家さんの今後の作品に期待したい。