緊縛SM特化の和姦調教モノ。学生ふたりが「ご主人様と性奴隷」をロールプレイし、絆を深めていく過程を描く。処女独占かつ陵辱なしの安心設計だが、ストーリー展開は人を選ぶかもしれない。
ストーリーの特徴
あらすじ
主人公(坂本 誠純)は、近頃学園に出没するという変質者の捜索中、屋上で裸に縄化粧をした痴女に出会ってしまった。しかも彼女は学生会長であり、主人公が長期入院により留年する前のライバルでもあった谷 静弓(たに しずく)だ。
主人公は見なかったことにしようと努めるが、静弓のほうはそうもいかない様子。主人公が冗談めかしてエッチなことを要求すると、静弓は興奮した表情で犬の首輪と手錠を差し出し、「私のご主人様になってください」と逆に懇願してきた。
主人公は戸惑いながらもそれに同意。こうして学生ふたりの「ご主人様と性奴隷」の関係がはじまるのだった。
学生ふたりの緊縛系和姦調教モノ
本作は、自縛痴女の学生会長と落ちこぼれ留年学生ふたりの緊縛系和姦調教モノだ。序盤のあらすじだけ読むと、実にコメディタッチで真剣味のない内容に思える。
だが、それはストーリーの序盤に限れば、のはなし。学生会長の静弓が緊縛嗜好に目覚めた理由や、主人公がかつての同級生たちから冷遇されている理由など、ストーリーの根幹にあるものはずいぶんとシリアスだ。
そのあたりのギャップの深さが人によっては受け入れがたいかもしれないけれども、個人的にはこの作品をとても気に入っている。一見して凸凹コンビのふたりの過去と現在の因縁、それが秘密のSMプレイを通じて昇華され、読後感の良いエンディングへと至るまでの過程が素晴らしかったからだ。
日常と非日常のスイッチ
主人公と静弓の「ご主人様と性奴隷」の関係は、当然ながら誰にも言えない関係だ。だから、彼らは人目のあるところでは、世間評どおり「完璧学生会長とだらしない男子学生」として振る舞う。しかし2人きりになると、多少は親しげに交友し、いざ”プレイ”となれば「ご主人様と性奴隷」として振る舞うことにしたのだ。
ところが、SMプレイに嵌ったふたりが何度もまぐわい続けていれば、自然と一緒にいる時間も増えて、周囲の耳目を集めるところとなる。学園内でSMプレイに耽るくらいにはスリルを味わいたい彼らだが、実際にバレて破滅の道を歩んでもいいと思えるほど無思慮ではない。
世間体と欲望のどちらを取るかというのは、盛りのついた学生ふたりにとって悩みのタネだ。SMプレイがバレるのを防ぐだけなら、学園でやるのを自重すればいいだけのことだろう。しかし互いに後ろめたさのある現状のままでは、からだの関係はどんどん深まっていっても、これ以上心の距離を縮めることはできないのだ。
デートで数千円程度の奢り奢られに気を遣うような学生ふたりが、大人でもやらないような本格SMプレイにのめり込みながらも、発情期思春期らしい葛藤を抱いている姿は、見ていて正直羨ましい。変態のくせにリア充なふたりには、ぜひ爆発してほしい。
主人公視点と静弓視点
本作の初回プレイ時は、原則として主人公視点で進められる。主人公視点で、どうして静弓は緊縛嗜好を持つに至ったのか、なぜ静弓は”息抜き”をするパートナーとして主人公を求めたのか、という一通りの事情を知り、エンディングを迎えた後で、今度は静弓の視点で最初からやり直す、という構成になっている。
静弓視点でやり直したからといって、最終的な結末が変化するわけではない。だが、あのとき静弓はどんな気持ちで主人公に接していたのかーーもっと言えば、あのとき静弓はどんな気持ちでオーガズムに達していたのか、という下世話な興味は満たされる。男女どちらの視点でも興奮できる者にとっては、なかなかオイシイ演出だった。
エロシーンについての概観
エロシーン数と基本CG枚数
エロシーン数18、基本CG枚数30。価格からすると、標準的なボリュームだ。
CG差分は表情差分がほとんどだが、カットインや擬音表現によって演出面をカバーしている。漫画チックな表現が苦手なら、設定から擬音文字表示をオフにできる。
様々な種類の縄縛プレイを楽しめる
タイトルに「緊縛」を謳っているだけあって、本作では様々な種類の縄化粧を鑑賞できる。具体的に列挙すると、乳房縛り(鬱血系ではない)、菱縄縛り、亀甲縛り、逆エビ縛り、両手片足吊り縛り、背面合掌縛り、狸縛り、鉄砲縛り(簡易)、股縄(非エロシーン)の9種類がある。
乳房縛りや菱縄縛り、股縄は静弓による自縄自縛で、その他は主人公による。主人公は当初、縄縛について全くの無知であったから、静弓持参の手錠や制服ネクタイでの拘束がせいぜいだった。だが、SMごっこを続けるうちに本格的なSMに興味を持ちはじめ、次第に複雑な縛り方ができるようになっていく。
最終的に狸縛りや鉄砲縛りまでマスターしてしまう主人公のSMにかける情念は本物だ。そして、そうした窮屈な緊縛プレイを受け入れ、股間を歓喜の涙でぐしょ濡れにしてしまう静弓のマゾっぷりもまた真正である。こんなに素質豊かなマゾ奴隷を飼えるなんて羨ましいかぎりだ。
あくまで和姦であって陵辱ではない
注意してほしいのは、主人公と静弓はお互いの合意に基づいて「ご主人様と性奴隷」をロールプレイしている、ということだ。
主人公は、プレイ中に静弓を罵倒したり乱暴に扱ったりするが、別に本気で彼女をモノ扱いしているわけではない。むしろ悪ノリしすぎたと感じたなら自己嫌悪に陥るし、プレイ後は謝ったり、普段より優しくしたりすることもあるという。プレイ中でも、何かの切欠でロールプレイを忘れて、うっかり素に戻ってしまうことさえある。
主人公にとって、静弓はいつでも替えのきくSMパートナーではない。所有物たる性奴隷ではなく、大切な存在だ。それは静弓にとっても同じである。違うのは、静弓にとって彼は「大切なご主人様」ということだけだ。
静弓の痴態をスマホ撮影
出来の良い緊縛ができて、それによってパートナーが恍惚としているなら、その素晴らしい痴態を後の観賞用に撮っておきたいと思うのは人情である。もちろん、我々常識人のリアルなプライベートにおいては、そんなリスクは冒せない。だが、若くして変態紳士淑女となった彼らなら、そんな良識の壁はあっさりと乗り越えられるのだ。
股間をクローズアップしたハメ撮りだけでなく、静弓の蕩け顔までバッチリ写真に残す。それで後々トラブルになろうと、それはそれ。ドロドロのアナルクリームパイの撮影なんて最高ではなかろうか。
主人公視点と静弓視点
エロシーンは、主人公視点と静弓視点が各9つずつある。どちらか一方の視点にしかないエロシーンもあるが、両方の視点で共通するエロシーンもある。
共通エロシーンは、一部例外を除けば基本CGの重複はない。それぞれの視点において、アングルやポーズの異なるCGが割り当てられている。もちろんテキストも異なるので、同じシーン中に相手がどんな気分だったのかが分かり、新鮮な気持ちで楽しむことができる。
エロシーンリスト(谷 静弓 CV:蒼乃むすび)
作品の評価
評価:良 この作品は、緊縛系の和姦調教に特化している。陵辱的調教は皆無であり、SMプレイに際してはパートナーへの配慮が感じられる。傍目からみれば酷いことをしているように見えても、実際にはお互いにプレイを満喫している、という和姦調教の機微がしっかりと描けている。また、主人公以外の男が調教に介入してこないので、独占志向の方でも安心な作りだ。
本作の「緊縛」というテーマは、単なるエロシーンの趣向には限られない。「緊縛」はストーリー展開上も重要な要素と結びついている。そのため、主人公と静弓の絆がSMプレイを通じて深まっていくことには説得力が感じられる。
本作のストーリーは、喜劇的な導入とシリアスな動機との間に大きなギャップがある。そこが本作の最も人を選ぶところだが、私はそういうピーキーな展開が嫌いじゃない。この作品のシナリオ担当者は、hibiki worksから9月発売予定の「水蓮と紫苑」(リンク先はGetchu)も担当しているようなので、そちらのほうも期待している。