6月発売の抜きゲーのイチオシ。ギャップ萌えが好きで、いろいろな異なるタイプのエッチを楽しみたい方には強くオススメしたい。エロシーンについては、姉妹丼、ご奉仕、母乳、調教、逆調教(男性被虐)がキーワードだ。
序盤のあらすじ
漫画家の千尋はスランプに陥って勃起不全になっており、趣味の個人サイトで連載中のエロ漫画『とろキン』さえも更新できなくなっていた。しかしある日、ファンを名乗る小粥姉妹から、『とろキン』のセーラとリルルのコスプレをした写真つきのメールが送られてきた。千尋は、そのポトレを見た瞬間、あまりのクオリティの高さに感動し、チンポが再び反応するのを実感した。
千尋は、コスプレリゾート島〈コスタリア〉に訪れ、そこで小粥姉妹と出会って意気投合。彼女達が滞在する宿泊施設と撮影スタジオを兼ねたVIPホテルに自分も宿泊し、『とろキン』のセーラとリルルに扮した聖良、莉瑠の2人とエッチなロールプレイを楽しむことになった。
4つの入霊スタイルをロールプレイ!
突然だが、あなたはお気に入りのエロゲーやエロ漫画のヒロインと戯れるとき、もしも「彼女が○○だったなら」というIF設定を妄想して抜いたことはないだろうか?
例えば、バブみのある年下の女の子が、逆に甘えたがりの妹だったなら? 強く誇り高くても結局は快楽堕ちしてしまう”クッ殺“さんが、逆にあなたを散々搾精して虜にしてしまう淫魔だったなら?
確かに別の作品をみれば、後者の特徴を備えたヒロインは幾らでもいるだろう。しかし、あなたにとって重要なのは、それがお気に入りのヒロインと同一人物であることだ。言ってみれば、お気に入りのヒロインの設定上にはあり得ない別側面が見たいのであり、まったくの別人とエッチしたいわけではないのだ。
本作の主人公〈千尋〉が描いたエロ漫画『とろとろ★エヴォーキング』(略称:とろキン)は、そうした読者の妄想を昇華させる作品だ。
漫画内の設定として、セーラとリルルには〈入霊〉という”自身に精霊を憑依させる”能力が備わっている。憑依した精霊によってセーラやリルルの性格と見た目が変わり、いろんなスタイルの二人と異なるタイプのプレイを楽しめるというわけだ。
本作では、有名コスプレイヤーの小粥姉妹(聖良と莉瑠)が、原作者の千尋の協力を得て、この設定をリアルで再現する。つまり、彼女たちが自作(または千尋お手製)のセーラやリルルのコスプレ衣装を身にまとい、4つの入霊スタイルをロールプレイするのだ。
原作の『とろキン』はエロ漫画であるから、セーラやリルルの入霊ロールプレイとは当然、彼女たちのご主人様とのエッチを含む。ご主人様役の千尋は、何たる役得か、美人で巨乳な姉妹コスプレイヤーたちとのエッチなロールプレイに付き合うことになる。また、そのついでに小粥姉妹のコス写真を撮影したり、さらには表題どおりの粘膜ポトレーーハメ撮りなどをしたりもするのだ。
セーラとリルルの入霊スタイルとエロシーン
セーラとリルルの入霊には、セレスティア、チャーミング、ヴァリアント、ダークネスという4つのスタイルがある。各スタイルの特徴については以下のリストに簡易にまとめたが、個別により詳しく知りたいのであれば、この章の3.1~3.4の項目を参考にしてほしい(*当サイトのサイドメニューの目次をクリックすると、その項目までジャンプできます)。
セレスティアスタイル:セーラとリルルの〈聖女〉としてのありのままの姿。ご主人様のことが大好きで、どんな願いも叶えてくれるというご奉仕H担当のスタイル。エロシーンは、授乳手コキ、エロポトレ撮影、パイズリ(フェラ)など。
チャーミングスタイル:セーラとリルルが、エッチに甘えてくるデレデレなスタイル。衣装はビキニベースで、セーラは〈ビキニバニー〉、リルルは〈ビキニメイド〉の格好をしている。エロシーンは、搾乳・授乳など母乳プレイ重視。
ヴァリアントスタイル:魔王によって性奴隷として調教されてしまう被虐スタイル。セーラは〈戦巫女〉、リルルは〈騎士〉の格好をしている。エロシーンは、緊縛・拘束した状態でのプレイが多い。セーラはアナル責めやチンカス掃除フェラ、リルルは野外露出プレイなどで調教される。
ダークネススタイル:普段は優しい二人が、サドっ気たっぷりに苛めてくるスタイル。セーラは〈サキュバス〉、リルルは〈黒魔法使い〉の格好をしている。エロシーンは、連続搾精、ドライオーガズム、足コキ、手コキ、アナル舐め、愛玩犬として逆調教など。
小粥姉妹は二人とも、興奮すると母乳が出てしまう体質である。この設定は、セレスティアスタイルやチャーミングスタイルのエロシーンで良く活かされている。しかし一方、ヴァリアントスタイルやダークネススタイルでは何故かあまり活かされていない(母乳が出るシーンが全く無いわけではないが)。
小粥姉妹との3Pは、各スタイル別に合計4つ用意されている。3Pで迎えるエンディングはないが、早い段階から姉妹丼歓迎の流れなので、最終的に片方を切り捨てるわけではないと思いたい。むしろ3Pシーンこそが姉妹丼エンディングの代わりなのだろう。
本作は、プロローグを終えて以降、シーン選択画面で好きなシーン(=エロシーン)を選んで、シナリオを進めていく。各シーンは、4つの入霊スタイル別に選択可能な段階がある。それぞれのステージをある程度こなすことで、初体験、デート、3Pなどの特別なシーンが開放されるという仕様だ。
また、一度選んだシーンは、その後何度でも繰り返し観ることができる。そのため、本編のシーン選択を、エロシーン前後の会話イベントつきのシーン回想のように利用することができる(*エクストラから閲覧できるシーン回想には会話イベントはない)。この仕様のおかげで、例えばステージ別(行別)に各スタイルを選んで進めた後、今度は各スタイル別(カラム別)にステージ1から4まで通しでプレイすることも可能だ。
さて、次の項目からは、4つの入霊スタイルの特徴とエロシーンについて詳細かつ個別にレビューしていく。プレイ前に細かい情報を知りたくない方は、4章「作品の評価」まで読み飛ばすか、今すぐ販売サイトでポチるかすると良いだろう。
セレスティア ~母乳の香るご奉仕プレイ~
セレスティアスタイル〈聖女〉は、聖良と莉瑠の最も基本的なスタイルだ。聖女装束は二人とも概ね共通の意匠だが、髪色は金と銀で異なる。また、聖女のロールプレイは、ご主人様の千尋にご奉仕するという点では共通しているが、ご奉仕に至るまでの過程は少し異なっている。
セーラは、自分にできることなら何でもウェルカムな淫乱聖女であり、ご主人様から求められずとも“自ら進んで”奉仕してくる。それに対し、リルルは、ご主人様から“求められて”奉仕するというやや受け身なスタンスを取ることが多い。
聖女のステージでは、小粥姉妹のバブみが発揮される。特に莉瑠のほうは、リルルになり切ることで千尋に優しくしてあげたい気分になっており、普段よりも母性的な雰囲気を強めている。
また、エロシーンにおいては、小粥姉妹の”興奮すると母乳が出る”設定がちゃんと活かされている。バブみの象徴たる授乳手コキは、当然、姉妹のどちらもやってくれる。おっぱい星人かつ”甘えたい”派のプレイヤーにとっては、セレスティアが一番抜けるスタイルではないかと思う。逆に”甘えられたい”派にとっては、次のチャーミングスタイルが一推しだ。
チャーミング ~母乳を吸って、甘やかして~
チャーミングスタイルの小粥姉妹は、セレスティアのご奉仕とは打って変わり、逆に甘えてくる。エロシーンは、セレスティアよりも乳臭く、至るところで母乳を噴き出す。
チャーミングスタイルのステージでは、千尋と小粥姉妹が恋人どうしになった設定が活かされており、恋人らしいイチャラブ感もある。作品全体のストーリーとしての本筋はおそらくこれだろうから、デートイベントの前に通しで観るなら、このステージがオススメだ。
セーラ:おっぱいを吸ってほしいウサギちゃん
聖良のチャーミングスタイルは、ビキニバニー。小顔の頭の上には大きなウサ耳、白いマイクロビキニは大きな胸を申し訳程度に覆って……すらいない。実はこのスタイルのビキニがセーラのおっぱいを保護しているのは、立ち絵だけである。エロシーンは常に上だけ脱がされた状態ではじまる。
エロ漫画好きで隠れ淫乱の聖良は、いつもエッチなことばかり考えている。しかし、それを表に出すのは恥ずかしいらしい。そこでチャーミングセーラになり切って、千尋に思う存分エッチなおねだりをしようというのだ。
具体的にどんなふうに甘えてくるのかといえば、ぱんぱんに張ったおっぱいのミルクを飲んでほしい、という感じだ。チャーミングセーラのエロシーンは、セレスティアスタイルのセーラよりも母乳にフォーカスしている。
ビキニバニーとなったセーラの一人称は「お姉ちゃん」で、千尋のことは「主くん」と呼ぶ。実際、年齢的には聖良のほうが千尋より年上であり、お姉ちゃんというのはロールプレイでなくても正しい。聖良は、甘えて甘やかすエッチなお姉ちゃんのセーラとなって、千尋との母乳に塗れたプレイを心から楽しむのだ。
リルル:本当は甘えたがりの妹メイド
莉瑠のチャーミングスタイルは、ビキニメイド。エッチなメイドらしいフリルパーツ付きのマイクロビキニは、セーラのそれと比べればちゃんと仕事をしている。一部のエロシーンでは、乳輪を露出させるため、胸部のビキニを斜めにズラすだけに留めた絵面が素晴らしい。
莉瑠は、本当は甘えたがりなのだが、姉妹間のとある事情により自立を志すようになったらしい。莉瑠は、自分が甘えている姿を姉に見られるのが嫌だという。その感情が枷となって、当初はビキニメイドとしてのロールプレイに乗り気ではなかった。しかし、千尋に説得されてロールプレイするようになると、今度はそれを建前として、普段素直になれない彼女が「お兄ちゃん」と言って甘えてくるようになる。
ビキニメイドのリルルからは、セレスティアスタイルで見せた母性が鳴りを潜め、代わりに庇護欲を唆られる可愛らしさが溢れ出ている。だから、千尋は”お兄ちゃん”を慕う”妹”を膝の上に乗せるなどして可愛がりたくなるのだーーもちろん、エッチな意味でも。
ヴァリアント ~肉便器に堕とされる小粥姉妹~
ヴァリアントのステージは、セレスティアやチャーミングとは趣向が全く異なる。このステージは、お互いに甘やかし甘やかされて快楽にハマっていくのではなく、魔王(千尋)が小粥姉妹を調教して肉便器ないし性奴隷に堕とすという趣向だ。
もちろん、そうした調教は一応の合意の上で行われる。ただし、小粥姉妹は2人ともマゾだという点では共通しているが、陵辱調教をロールプレイすることへの想いには温度差がある。そのため、このステージでは、同じヴァリアントスタイルでも聖良と莉瑠とでエロシーンの趣向が大きく異なっている。
セーラ:調教願望丸出しの戦巫女
聖良のヴァリアントスタイルは、戦巫女。巫女装束は腋と両肩丸出しの腋巫女スタイル。マンコには姦淫封じの御札が貼ってあり、魔王はこれを剥がして犯すことができない設定だ。しかし、肛門は丸出しになっているので、アナルセックスならば可能。処女のままアナルセックスを楽しめるのは、ヴァリアントセーラだけだ。
聖良はもともとマゾ気質で、ド淫乱な娘である。千尋が普通に頼めば、どんなプレイもさせてくれるだろう。だが、実際に戦巫女状態での陵辱プレイを提案してくるのは、聖良のほうである。
聖良は完コス志向なので、たとえ陵辱されるシチュエーションであっても妥協がない。嫌がりながらも最終的に快楽堕ちさせられるセーラの気持ちを疑似体験するため、様々な変態プレイを自ら提案してくる。例えば、3日間風呂に入っていないチンカス塗れのチンポをしゃぶらせてほしいとか、媚薬を飲んだまま監禁放置プレイされたいなど、アブノーマルな要求レベルがとても高い。
もっとも、プレイ中はあくまで犯される側なので、聖良は嫌々犯されるロールプレイもしてみせる。しかしその一方で、内心では肉便器に堕とされていく自分に酔っているという淫乱ぶりが愛おしい。
リルル:露出調教される女騎士
莉瑠のヴァリアントスタイルは、女騎士。騎士といっても軽装であり、露出面積は大きい。
莉瑠はもともとヴァリアントに関しては否定派であり、原作のように犯されるなんて嫌だった。しかし押しに弱い彼女は、千尋に拝み倒されると断れない。毎回半ば騙される形で、露出調教プレイに付き合わされる。彼女は約束が違うことに怒ってみせるが、潜在的にはドMであるから、興奮してくるとまるで肉便器のように振る舞ってしまう。
変態として扱われるのは嫌だと強がってみせるが、いったん感じてしまえばドMの変態そのものーーそんなプレイ前後のギャップに萌えさせてくれるのが、ヴァリアントリルルなのだ。
騎士莉瑠への陵辱プレイにイラマチオを含む口淫が多いのは、敵に奉仕する屈辱を最大限に与えるというロールプレイなのかもしれない。もちろん、莉瑠はそんな屈辱をも快楽として受け入れてくれる。
ダークネス ~サディスティックな淫乱姉妹~
ダークネススタイルのステージでは、千尋のほうが被虐側になる。
ヴァリアントスタイルではマゾっ気の強さをみせた小粥姉妹であったが、ダークネススタイルでは実は女性上位プレイもイケる両刀遣いなのだと思い知らされる。ロールプレイ中の小粥姉妹にはまるで遠慮がないため、ダークネススタイルのエロシーンは、全スタイル中最もエゲツない。
セーラ:何度でも搾精し続けるサキュバス
聖良のダークネススタイルは、下腹部に淫紋のあるサキュバス。露出の多さも淫乱ぶりもビキニバニー並だが、搾り取るのが自らの母乳ではなく、ご主人様(千尋)の精液という点で異なる。
聖良曰く、ダークネスセーラは一番憧れているスタイルだが、一番演技に自信がないという。普段のおどおどとしたコミュ障気味な彼女であれば、さもありなん。しかし一旦ロールプレイのスイッチが入ると、普段とは別人のような態度と声音に切り替わり、上から目線で千尋の嗜虐心を刺激してくる。
サキュバスとなった聖良は、何度でも執拗にご主人様のザーメンを搾り取ろうとする。射精しすぎてもはや出なくなったとしても、強制的に男の潮吹きやドライオーガズムへと導く。何度も絶頂させ続けていればそのうち新しいザーメンが急造されるだろうから、それを期待して空撃ちさせ続けるのだ。
ダークネスセーラのエロシーンは、言葉責めや焦らし責め、逆レイプなど男性被虐の基本がぎゅっと詰め込まれている。セーラの台詞回しが巧みで、とても興奮させられた。
リルル:ご主人様を逆調教する黒魔法使い
莉瑠のダークネススタイルは、とんがり帽子を被った黒魔法使い。
この衣装の特筆すべき点は、下着を履かないままストッキングを着用するのが正装ということだ。この設定のおかげで、ストッキングの黒い膜越しにみえるリルルのマンコや肛門を拝むことができる。黒ストッキングフェチにはたまらないスタイルであり、それらの絵があるだけで、この作品を買って良かったと心から思える。
ダークネスリルルは、ご主人様(千尋)を愛玩用ペットとして逆調教する。わざわざ千尋に服従の首輪をはめて町中を連れ歩いたり、彼自身が「犬として躾けられたい」と宣言するように仕向けたりと、このロールプレイは他のスタイルと比べて最も莉瑠のやる気が乗っている。莉瑠としては被虐癖のある千尋を喜ばそうとしたつもりなのだろうが、彼女自身の嗜好にも合っていたのか、とても楽しそうだ。
千尋が自分の愛玩犬として振る舞う姿をみて嬉しそうなリルルの笑顔をみていると、別にこれがロールプレイではないリアルな関係に発展しても良いような気がしてくる……それだけの魅力が彼女にはあるのだ。
作品の評価
評価:秀 本作のシナリオは、エロを描くためだけに特化している。エロとは無関係な要素がほとんどないので、最初から最後まで徹底してエロい。ヒロインとのロマンスやお涙頂戴にかまけて、エロがおざなりになることがない。作中で描かれるほぼ全てのことは、何から何までエロへと繋がっていく。
だからもう、小粥姉妹が立ち絵のまま何か喋っているだけでもエロい。本作の立ち絵は、表情が台詞の改行どころか句読点レベルで良く変わるため、台詞のテキストだけ読んでボイスを飛ばしたりせずに、最後まで聴き入ってしまう。その結果、聖良や莉瑠の蠱惑的な表情とともに、エロい台詞が脳内に刷り込まれてしまうのだ。
また、本作には、ギャップ萌えを引き起こす要素がこれでもかと詰め込まれている。
例えば、聖良はおどおどした見た目に反してわりと積極的な淫乱だし、莉瑠は典型的な真面目系ツンデレであり、甘えたいのに甘えられない女の子だ。また、彼女たちがロールプレイする4つの入霊スタイルは、セレスティアとチャーミングの”ご奉仕”対”甘え”、ヴァリアントとダークネスの”S”対”M”という対照性を持っている。さらには、彼女たちがそれぞれのスタイルに応じて完璧に役になり切っているなか、時折、素に戻ったときの反応の落差には心惹かれるものがあった。
シナリオの進行をシーン選択によって行うシステムは、最悪、墓穴を掘ることになりかねない。何故なら、ストーリーの展開に連続性や起伏を持たせることが難しいからだ。しかし本作の場合、ストーリーが限りなくシンプルであるために、どこで話を切り取っても違和感の少ない状態でエンディングに辿り着くことができる。本作のシナリオに明確な山場はないが、抜きゲーであれば物語としてのドラマ性など必須ではない。
本作は、抜きゲーとして無駄なく完成された、非常に素晴らしい作品だ。昔はシナリオ重視の美少女ゲームばかり作っていたあかべぇブランドから、まさかこんなにハイレベルな抜きゲーが生み出されるとは……。エロシーンは薄すぎず濃すぎず、ノーマルすぎずマニアックすぎずとバランスが丁度良い感じなので、幅広いプレイヤー層にオススメしたい作品だ。